倹約と知恵

質素倹約の本質は、未来への投資にある。お金のリテラシーを身につけ、生き方を見直そう!

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足るを知る

 皆様、こんにちは。

 最近は、新NISAが始まったり、日経平均株価が史上最高値を記録したり、多くの企業で賃上げが行われるなど、日本経済にとって良いニュースをよく耳にします。その一方で、1ドル=155円を超えるほど円安が進んだり、賃上げを上回る勢いで物価が上昇するなど、私たちの生活や家計を悩ませるニュースも後を絶えません。しかし、いつの時代どのような状況であっても、1人ひとりが「質素倹約」を心掛けることが大切であると私は考えています。そこに、貧富貴賤は関係ありません。寂しいかな、様々なモノやサービス、情報が溢れる現代では、「これで十分だ」という感覚が欠けているように思います。そこで今回は、私が普段から大事にしている「質素倹約」の考え方について、お話ししたいと思います。人は、持っているものが少なくとも、幸せに生きていくことができる、この記事がそのことに気づくキカッケになれば幸いです。

 質素倹約は、無駄を省いて出費をできるだけ少なくすること、慎ましく暮らすことを指します。ただ闇雲に出費を削るものではありません。普段は身の丈に合った生活をしつつも、勉強や新しい知識を学ぶ、年に一度は家族と旅行に行く、記念日には少し豪華な食事をするなど、お金の使い方にメリハリをつけることがポイントです

正しいお金の使い方

江戸時代より商人の町として栄えてきた大阪にはお金にまつわる様々な教えがあります。その1つが、「死に金」「生き金」という考え方です。大阪商人は、見栄や役に立たないものに使う「死に金」を避けつつ、自分にとって価値あるものに使う「生き金」にこだわっていました。ただただお金を惜しんで生活を切り詰めるのではなく、自分が実現したい目標のためにお金を使う。そう、何ためのお金を使うのかという「目的意識」の有無が、質素倹約とケチを分ける分水嶺なのです。

2. 正しいお金の使い方

 私たちのお金の使い方は、「消費」「浪費」「投資」の3種類に分けられます。「消費」とは、生活するために必要な支出であり、支払ったお金に見合った価値が得られるものです(食費や家賃、光熱費、通信費、交通費など)。「浪費」とは、自分にとって本来必要のない支出であり、見合わない価値しか得られないどころか、場合によってはマイナスさえなってしまうものです(ギャンブルやタバコ、嗜好品、使わずに放置している商品など)。一方、「投資」は、将来の自分に利益や幸せをもたらしてくれる支出、つまりは「生き金」です(本や資格取得、株式投資、寄付、プレゼント、推し活など)。

このうち「消費」と「浪費」への支出を減らし、その分を「投資」に回していくのが、賢いお金の使い方になります。

おとぼけ地蔵
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他人の目を気にしなければ、欲望を抑えられます。そして、欲望を抑えることができれば、支出を減らすことができます。

3. まずは「消費」と「浪費」を見直そう!

 穴の開いたお財布では、いつまで経ってもお金は貯まりません。質素倹約に努めるのであれば、まずは、その穴をできるだけ小さく塞いでおきましょう。

「消費」と「浪費」を見直す

➀ アプリを活用して、家計簿をつける

 自分は「消費」と「浪費」にどれくらい使っているのか、いくらあれば最低限生活していけるのか、なんとなくで使っているお金はないかなど、お金の流れを知るのはとても重要です。それには、地味ながらも家計簿をつけるのが一番です。最近の家計簿アプリは使いやすく、レシートの読み取りや自動的にグラフ化(視える化)してくれる機能など、便利なものも多くあります。きっと、皆様の好みに合ったものを見つけられるはずです。

おとぼけ地蔵
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1日単位、1円単位まで細かく見る必要はありません。月・年単位で全体をざっくり把握するくらいで良いでしょう。

目の白いとり
目の白いとり

現実を直視するのは怖いけど、人生を変えたいなら避けては通れない道だね。

② 固定費を見直して、身軽になる

 固定費は、何もしなくても勝手に出て行ってしまう支出です。それでいて、家計に占める割合が大きいものです。しかし、それだけに、一度見直しをしたら節約効果が持続するメリットがあります。特に注目すべきは、「住居費」と「通信費」、そして、「車」です。

住宅費」の目安は、収入の30%以内に収めるのが望ましいとされています。地域によって、地価や家賃相場は異なるため一概には言えませんが、もしかしたら、収入に見合わない物件に住んでいるかもしれません。例えば、朝早くから夜遅くまでバリバリ働いている単身者であれば、家で過ごす時間はそう多くはありません。子どもいない共働き夫婦であれば、そこまで広い物件に住まなくても十分に暮らしていけます。賃貸にお住まいであれば、次の更新タイミングで一度引越しを検討してみてください。一方、既に住宅ローンを組んでいるのであれば、より金利の低い金融機関に借り換えを検討するのもおすすめの方法です。「住居費」を下げることは何も恥ずかしいことでありません。倹約家として、賢い選択なのです。

情報社会を生きる私たちにとって、電話やインターネット、スマホは重要なインフラです。その「通信費」も無視できません。今の利用状況に合わせて、料金プランを見直し、データ容量や付随サービスを最適化する必要があります。その際には、是非、大手キャリアから、サブブランドや格安SIMへの乗り換えも検討してみてください。これまで大手キャリアしか使ってこなかった方にとっては、その節約効果に驚くことでしょう。

」には、駐車場代や自動車保険、車検などの固定費に加え、ガソリン代などのランニングコスト、消耗品の交換といったメンテナンスコストが掛かります。所有しているだけで、なかなかの金喰い虫になります。地方では必須アイテムかもしれませんが、公共交通機関の整ったエリアにお住まいであれば、車を手放すことも考えてみてください。たまにしか乗らないのであれば、レンタカーや車のサブスクで事足りるはずです。

おとぼけ地蔵
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1つひとつは小さくとも、長い目で見れば、とてつもなく大きな節約となります。

③ 保険を見直す(不要なものは即解約する)

保険を見直す

 災害の多い日本では、「過度な安心」を得るために、余計な保険に入っている人が多いように感じます。日本に住んでいるとあまり実感できませんが、日本の公的医療保険制度(健康保険、国民健康保険など)は世界最高レベルです。どの医療機関を選んでも医療費を3割負担に抑えてくれるだけでなく、大怪我をして数百万円もの医療費が発生した場合でも手厚くカバーしてくれる高額医療費制度が使えます。加えて、怪我や疾病によって仕事ができなくなったときに受け取れる傷病手当金や、介護が必要になったときに保障を受けられる介護保険など、様々なものがあります。これだけ充実しているのに、テレビCMや広告に煽られて、敢えてそれ以上の安心を求める必要はないでしょう。す。まずは公的保険制度でどこまでカバーできるのかを見定め、それでも足りない部分があれば民間の保険商品で補うのがスマートなやり方です。

参考:厚生労働省「我が国の医療保険について」

④ 自炊して、外食を減らす

自炊する

 それなりの時間と手間はかかるものの、自炊には食費を抑える以上のメリットがあります。それは、私たちの「健康」です。現代の外食産業は、お客様にたくさん来て食べてもらうために、塩分や糖質、脂質などを過剰に使う傾向にあります。既製品やジャンクフードであれば、そこに保存料や食品添加物まで加えられています。何も考えずに食べ続けていれば、いずれ身体に不調をきたすでしょう。身体を壊せば、余計な医療費を支払うことにもなります。しかし、自炊ならば、食の全てを自分でコントロールすることができます。自分や家族が口にする食べ物を取捨選択することはもちろん、1人ひとりの体質や味覚に合わせて、栄養バランスや味、食事の量を調整することもできます。日々の食生活は、私たちの「健康」に大きな影響を与えています。自炊は、食費だけでなく、将来の医療費を抑え、「健康を買う」ことにも繋がるのです。

また、自炊には、脳が活性化するというメリットもあります。メニューを構想する、効率の良い手順を考える、複数の調理を同時並行で行う、盛り付けを工夫するなど、料理は意外と複雑なものです。故に、料理をする行為自体が、認知機能を鍛える脳トレになります。食費を抑えつつ、食生活を自らコントロールし、身体と脳の健康まで手に入るのであれば、自炊しない手はないですね。

4. 節約したお金を「投資」に回そう!

 貯めたお金をそのままにしておいては本末転倒です。それでは、「死に金」になってしまいます。将来の自分に利益や幸せをもたらしてくれるものに投資して、「生き金」にしていきましょう。

➀ 知識を買う

知識を買う

 福澤諭吉先生は、『学問のすすめ』(初編)の中で「天は人の上に人を造らず、ヒトの下に人を造らず」と説いています。しかし、この有名な言葉には続きがあります。

人は生まれながらにして貴賤・貧富の別なし。ただ学問を勤めて物事をよく知る者は貴人となり富人となり、無学なる者は貧人となり下人となるなり。

出典:青空文庫「福沢諭吉 学問のすすめ」

いつの時代も、学び続ける者だけが成功し富める、学べぬものは貧しくなる。先生が一番伝えたかったのは、この一説だったのではないかと私は思います。知識は重荷になりません。たとえ明日仕事を失ったとしても、戦争や紛争によって財産を奪われたとしても、知識だけは私たちのもとに残り続けます。それは、生きていくための力になります。現代はVUCAと呼ばれる変化の激しい時代です。いつ何が起こっても不思議ではありません。だからこそ、本や資格取得、勉強、セミナーなどにお金を使い、学べるときに学んでおくことが大切なのです。それに、新しい知識を学ぶことには、成長する喜びがあります。知識が広がることで、様々な視点で物事を見ることができるようにもなります。学ぶ楽しみは、きっと皆様の人生を豊かにしてくれることでしょう。

② 体験を買う

体験を買う

 体験は、私たちの人生の財産となり、それを経験した後も継続的な幸福や満足感をもたらしてくれます。海外旅行や映画、ボランティア、副業、推し活などなど。新しい体験は、私たちに感動と刺激を与えてくれます。たとえ、それが難儀なものだったとしても、私たちを人間的に成長させてくれます。トラブルに見舞われた旅行でも、後で振返ってみれば、良い思い出だったと感じることでしょう。いつか人生の最期を迎えるとき、良い人生だったと心から思えるように、体験にはお金を惜しまないでください。モノにお金を使うよりも、ずっと私たちの人生を豊かにしてくれるはずです。

③ 時間を買う

 私たちの人生(時間)は有限です。倹約においても、タイムパフォーマンスは重要です。わずか数百円の節約のために、数時間も費やしてしまってはあまり意味がありません。逆に、少しのお金で、その貴重な時間が増えるのであれば、それはたいへん有意義なものとなります。生活が楽になるだけでなく、浮いた時間を、スキルアップのための読書や勉強、家族・友人との交流といった人生を豊かにしてくれることに使うことができるからです。是非とも、「時給思考」でお金と時間のバランスを考えるようにしてください。

一例
  • ネットスーパーやEコマースの定期購入を利用して、買い物に行く手間を省く。
  • ロボット掃除機や食洗器、代行サービスを使って、家事の一部を任せる。
  • 職場の近くに引っ越して、通勤時間を減らす。

④ 健康を買う

 お金があっても、身体を壊し、ベットで寝たきりのままでは豊かな人生を送ることはできません。心が病んでいたり、感動を共有する家族や友人がいないのも不健全です。それでは、幸せを感じることはできないでしょう。健康は、「身体的な健やかさ」「精神的な健やか」、そして、「社会的な健やか」から成ります。品質の良い1ランク上の食材・食品を購入する、快眠枕やアロマといった睡眠の質を高めるグッズを購入する、美容やオシャレに気を配る、記念日に大切な人にプレゼントを贈る、友人や同僚との交流を楽しむ、などなど。いつまでも健康で若々しくい続けるために、こういったことにもお金と時間を使うべきなのです。

5. お金のリテラシーを身につけよう!

 「お金にまつわるルール」は、年々更新されています。2024年1月に始まった新NISA然り、今では常識になっているIDeCOやふるさと納税、インボイス制度も2000年に入ってから始まったものです。日本の消費税率でさえ、2014年から8%へ、2019年から10%へと大きく変わりました。これらは、長い金融の歴史からすれば、割と最近の出来事です。そして、これからもお金の常識は変わっていくでしょう。生活者として、倹約家として、お金と正しく付き合っていくためにも、学び続ける努力を怠らないようにしましょう。

お金のリテラシー
おとぼけ地蔵
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おすすめは、自分で「確定申告」をしてみることです。会社勤めの方にとっては慣れないことかもしれませんが、税制を知ることが、お金のノウハウを学ぶ打ってつけの方法です。

6. 結び

 ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

 私たちが豊かな人生を送るために必要不可欠なものが2つあります。それは、「健康」と「お金」です。健康であれば、お金に余裕があれば、歳を重ねても好きなものを美味しく食べることができます。大切な人と一緒に、好きなところへ行くこともできます。自らの意思で働き方や生き方を選ぶこともできます。そう、私たちが健康やお金を欲しているのは、富のためでも名声のためでもなく、「選択の自由」を得るためなのです。質素倹約な生活には、贅沢や派手さはありませんが、私たちを着実に「選択の自由」へと導いてくれる力があります。人は、持っているものが少なくとも、幸せに生きていくことができます。皆様が自らの選択によって倹約家となり、いつの時代どんな状況であっても幸せな人生を歩めることを心から祈っております。

自分に優しく、人に優しく。自分貢献から他者貢献、そして、社会貢献へ。それが回りまわって、皆様自身や家族にとって優しい社会になるのだと、私は信じています。

身軽に生きる
ABOUT ME
おとぼけ地蔵
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エンジニア / 副業ブロガー
ご覧くださり、ありがとうございます。 1988年九州生まれのエンジニアです。 現在は大阪在住。半導体業界で働かせて頂いております。バリバリの理系ではありますが、少しだけ経営学も嗜んでおります。 和のテイストが大好きです。また、健康や心の平穏に重きを置いており、身の丈に合った慎ましい生活を心掛けております。
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