人と社会

私たち1人ひとりの中に、未来をつくる力がある。「テラ・ルネッサンス」は、世界平和の実現のための活動を続けられています。

otobokezizou

 皆様、こんにちは。

 ウクライナやパレスチナでの戦争や紛争が続く昨今、否応なく「平和」について考えさせられることが増えているかと思います。戦争に勝者はいません。敗者と死傷者、そして多くの悲劇しか生みません。そして、その悲劇は、争い終わった後も長く長く残り続けます。例えば、地雷や不発弾、子ども兵の問題など…真に平和な暮らしを取り戻すまでに、解決しなくてはならない問題はとても多いのです。私たち日本人は、いま起こっている戦争や紛争には注意を払いますが、「その後」についてはあまり関心を持たない傾向にあります。そこで今回は、戦争によって引き起こされた「地雷」「小型武器」「子ども兵」の課題、そして、次世代のための「平和教育」に、20年間以上にわたり取り組まれている認定NPO団体「テラ・ルネッサンス」さんについてお話ししたいと思います。この記事を読んでくださった皆様が、未来をつくる力を信じ、世界平和の実現のために少しでも力になりたいと思って頂けたら嬉しいです。

馬三郎
馬三郎

ふるさと納税による寄付も受け付けてるよ!

 「地雷」「小型武器」「子ども兵」「平和教育」の4つの課題に対して、世界9ヶ国で活動されている認定NPO団体です。日本発の国際NGOでもあります。アフリカ、アジア、東ヨーロッパでは現場での支援活動を、日本国内では啓発・政策提言および人材育成に取り組まれており、2001年の設立から20年間以上にわたり、平和のための歩みを続けられています。

=ビジョン=

すべての生命が安心して生活できる社会(=世界平和)の実現

=ミッション=

当会の事業を通じ、人々に『次世代に対する責任』を啓発し、それぞれが個人、家庭人、社会人、そして地球市民として、未来の子どもたちの生活をも視野に入れた生活(簡素な生活)を実践することにより、人類共通の理想『世界平和』を実現する。

NPO法人テラ・ルネッサンス|団体紹介映像
おとぼけ地蔵
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テラはラテン語で「地球」、ルネッサンスは英語で「再生、復興」という意味を持っています。

2. 戦争の「その後」も続く悲劇と課題

2-1. 地雷 -安価で多くの人を傷つける悪魔の兵器

 地雷の目的は、生かさず殺さず…人を殺すのではなく、身体の一部を損傷させることを目的に作られています。敵兵を負傷させることで、その兵士を助けるために敵側の人手と資金を減らすことがその狙いです。しかし、地雷は傷つける相手を選びません。その被害の7割以上は、戦争とは関係のない一般市民なのです。地雷は、1つあたりの値段が300円から3,000円と非常に安価ですが、一度埋設された地雷の除去には莫大な資金と時間が必要となります。世界には今なお6,000~7,000万個もの地雷が埋設されており、普通の生活の中で地雷被害に遭う人たちが大勢います。そして、その約半数が罪のない子どもたちです。

世界162ヵ国が参加する「対人地雷全面禁止条約(オタワ条約)」が結ばれたことで、世界の地雷を取り巻く状況は改善しつつあります。しかし、2024年現在、米国やロシア、中国、インドなどの生産大国は参加しておらず、紛争や大規模戦闘が続いている国々では「悲劇の種」が増えています。

おとぼけ地蔵
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日本も、かつては約100万個の地雷を製造・保有していました。しかし、1999年にオタワ条約に加盟し、2003年には地雷の廃棄作業を終えました。今では、地雷埋設国への地雷除去や被害者支援などに資金援助を行っています。

参考:ピースボード地雷廃絶キャンペーン「地雷の基礎知識(2023年版)」

2-2. 小型武器 -1分につき1人を殺している大量破壊兵器

 小型武器とは、拳銃、自動小銃、短機関銃など、1人で携帯・使用が可能な武器を指します。小型武器の恐ろしい点は、(人を殺せる手段を)安価に入手できること。現在、約100カ国で1,000以上の企業が小型武器を製造しており、国際貿易額は年間 約85億USドルにも昇っています。そのようにして世界に拡散された小型武器は、紛争地から次の紛争地へと安く流されるため、中古品や型落ち品として誰でも簡単に入手することができます。中には、3~4kgと軽量で子どもでも簡単に扱えるものもあり、それが「子ども兵」を生む一因にもなっています。

小型武器は、武力紛争を激化・長期化させ、人々の生活基盤を破壊し、貧困を助長します。そして、貧困と小型武器の蔓延により、終戦後も経済や治安が安定せず、死亡率が下がらないばかりか、ときには上がることさえあります。実際、小型武器を使用した暴力により、年間 約50万人もの命が奪われています。これは、約1分に1人が世界から消えている計算になります。また、たとえ武力紛争がなかったとしても、米国やメキシコ、南アフリカをはじめとする多くの国々で、小型武器が「日々の犯罪」に使われていることも忘れてはなりません。

馬三郎
馬三郎

不十分な治安に対する自衛の手段として、一般市民が武器を求めるといった悪循環も生じてるんだ。

参考:外務省「小型武器問題について」

2-3. 子ども兵 -最悪の児童労働

 現在も、アジア、アフリカ、中東、中南米などの紛争地域で確認されており、少なくとも25万人以上の子ども兵がいると言われています。子ども兵は加害者であり、被害者でもあります。貧困や復讐から自ら志願して兵士になる場合もありますが、誘拐されて強制的に兵士にさせられる場合がほとんどです。子どもは純粋で洗脳されやすく、すぐに補充ができるため、「道具」のように扱われています。前線にいる大人の兵士の弾除けにされたり、飲酒や売春、暴行、殺人を強要されることもあります。規律や上官の命令に背いたり、反抗的な態度をとれば、他の子どもへの見せしめとして厳しい体罰が与えられる(場合によっては死刑にされる)ため、死への恐怖から逆らうこともできません。

このような過酷な環境で育った元子ども兵の処遇と社会復帰を巡っては、「元子ども兵士自身が抱える問題」と「周囲の状況が抱える問題」が重なり合い、より複雑で困難なものになっています。

身体的・精神的トラウマ

 人殺しの現場に居合わせる、自ら人を殺める、四肢の切断を強要される、食料を略奪する、レイプされるなど、子ども時代に身体的・精神的に深い傷を負っています。また判断能力を鈍らせる目的でアルコールや麻薬を服用させられたり、少女兵であれば性的虐待を受け、幼くして妊娠と出産あるいは中絶を経験させられることが多くあります。そのため、帰還後も悪夢にうなされたり、精神的に不安定になりやすい傾向にあります。

基本的な教育の欠如

 元子ども兵は軍事訓練以外の教育を受けておらず、職業技能も無いため、仕事に就くこともできず経済的に大きな困難を抱えています。基本的な読み書きさえできない子さえいます。また、特殊な環境で過ごした結果、「力さえあれば何でも手に入る」といった暴力的な思考が染みついていたり、感情をうまく人に伝えることができない場合もあり、彼ら彼女らの社会復帰をより難しくしています。

地域コミュニティからの偏見と差別

 元子ども兵には「人殺しの仲間」というレッテルが張られるために、故郷に帰っても地域住民に受け入れてもらえないことが多くあります。また、子どもたち自身も、非難やいじめ、報復への恐れからコミュニティになかなか馴染めずにいます。

馬三郎
馬三郎

悲しいことに、社会やコミュニティに馴染めず、再び軍隊に志願する子どもたちもいるんだ。

参考:日本ユニセフ協会「子どもの権利条約」

参考:テラ・ルネッサンス「子ども兵について」

3.「テラ・ルネッサンス」の主な活動

 すべての生命が安心して生活できる社会(=世界平和)の実現を目指し、「地雷」「小型武器」「子ども兵」「平和教育」の4つの課題に対して取り組まれています。カンボジアやラオスでは地雷・不発弾処理・生活再建支援を、ウガンダ、コンゴ、ブルンジでは元子ども兵の社会復帰支援を、そして、日本国内では、次世代のための平和教育やアドボカシー活動(政策提言)などを展開しています。

➀ 国際協力事業アジア -地雷・不発弾の撤去支援

 テラ・ルネッサンスさんの原点でもあるカンボジアでの地雷撤去支援は、2001年以来、継続されています。約20年間にもわたって続いたベトナム戦争の爪痕は大きく、隣国のカンボジアやラオスには、今も多くの地雷や不発弾が眠っています。しかし、それらを1個取り除けば、確実に1人の被害者を減らすことができます。カンボジアでは、2008年から駐在スタッフを派遣しており、地雷撤去と併行して、その後の地域開発や、地雷被害者を含む障害者家族の生計向上も支援しています。また、子どもの基礎教育支援も行っており、将来的には貧困の連鎖からの脱却を目指しています。

出典: NPO法人テラ・ルネッサンス「カンボジア事業」

また、世界で最も激しい爆撃を受けたラオスでも、2008年以降、現地の不発弾撤去団体(MAG-Lao、UXO-Lao)に必要な資金や金属探知機を提供しながら、その撤去活動を支援しています。加えて、撤去後も地域に寄り添い、小・中学校の建設や人財育成、生活基盤強化プロジェクトなどを通して、地域コミュニティの自立と自治を促進しています。

② 国際協力事業アフリカ -元子ども兵の社会復帰支援

 テラ・ルネッサンスさんが行う元子ども兵の社会復帰支援プロジェクトでは、「3年間で元子ども兵が社会復帰するために、必要な能力を身につけ経済的に自立すると共に、地域住民との関係を改善しながらコミュニティで安心して暮らせるようになる」という目標を掲げています。例えば、各国に設立した社会復帰訓練施設では、洋裁、手工芸、服飾デザイン、木工大工などの職業技能科目に加えて、識字、算術、英語、健康管理に関する基礎クラスも開講しています。また、カウンセリングによる心理的ケアや、地域住民の和解促進・関係改善のためのワークショップなども行っています。

出典: NPO法人テラ・ルネッサンス「コンゴ/ ウガンダ事業」

テラ・ルネッサンスさんが長年にわたって大切にしているのが、「オーダーメイド型の自立支援」と「自尊心」です。元子ども兵と一概に言っても、それぞれが抱える課題やトラウマ、復帰までの道のりや歩みの速度も1人ひとり異なります。本人やその家族の望みや意向をできるだけ尊重しながら、子どもたちが自らの力で生計を立てられるように支援しています。

おとぼけ地蔵
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社会復帰を果たした子どもたちの中には、「支えられる存在」から「支える存在」になった人たちもいます。

③ 啓発事業 -平和教育

 啓発活動の目的は、平和の種を蒔き、戦争や紛争を「予防」することです。テラ・ルネッサンスさんは設立当初から、世界の現状を伝え、「今の自分にできること」を考えてもらうキッカケを提供しています。小中学校から一般企業の社内研修まで幅広く、これまで2,085回の講演の中で、208,585人の方々に受講して頂いています(2021年3月時点)。

子ども兵の問題や紛争の被害など、衝撃的な内容に触れることもあるため、受講者の年齢や理解度、関心に合わせて伝え方を工夫されていますが、共通するメッセージは、「1人ひとりに未来をつくる力がある」ということ。学生の頃に講演を聞いた受講生の中には、大人になって社会問題に取り組んだり、国際協力に関わったり、NPOに寄付したりする方も多くいらっしゃいます。その方たちの平和への意識と行動が、次の平和の種を蒔くことに繋がっていくのです。

おとぼけ地蔵
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平和教育を漢方薬のようなもの。時間はかかりますが、何年か後にじっくり効いてくる感じに似ています。

参考:テラ・ルネッサンス「2023年度年次報告書」

参考:テラ・ルネッサンス「20th Anniversary magazine」

4. 結び

 ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

 大事な人たちと平和に暮らしていたい…世界中の誰もが、そう願っているはずです。しかし、日本の外に目を向けて見ると、世界には今なお多くの戦争や紛争があります。世界は繋がっています。世界で起きている様々な問題は、日本から遠く離れていていたとしても、私たちと決して無縁ではありません。私たち1人ひとりの力は「微力」ではあっても、決して「無力」ではありません日々の何気ない小さな選択の1つひとつが、社会に流れを生み、未来へと繋がっていきます。まずは、皆様自身の心と皆様の周りにいる人たちの平和から築いてみてください。そして、未来の平和について、少しでも関心と希望を持って頂けましたら、テラ・ルネッサンスさんのように尊い活動をされているNPO団体への支援も検討してみてください。

自分に優しく、人に優しく。自分貢献から他者貢献、そして、社会貢献へ。それが回りまわって、皆様自身や家族にとって優しい社会になるのだと、私は信じています。

ABOUT ME
おとぼけ地蔵
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エンジニア / 副業ブロガー
ご覧くださり、ありがとうございます。 1988年九州生まれのエンジニアです。 現在は大阪在住。半導体業界で働かせて頂いております。バリバリの理系ではありますが、少しだけ経営学も嗜んでおります。 健康や心の平穏に重きを置いており、身の丈に合った慎ましい生活を心掛けております。また、和のテイストが大好きです。
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