廃棄りんごのアップサイクル!「RERIGO」は、動物にも環境にも優しいレザー・ブランドです!
皆様、こんにちは。
私たちのよく知る果物「りんご」から「レザー」が作れるって、ご存知でしょうか?耳を疑うような話かもしれませんが、近年、「植物性のヴィーガンレザー」が世界の関心を集めています。植物性ゆえに、従来の本革や石油系レザーと比べて温室効果ガス排出、水資源の使用・汚染、土地の利用面積、生態系への悪影響が少ないだけでなく、もともと捨てられるはずだったモノを原料としているため、フードロスの低減にも貢献できます。
そこで今回は、長野県飯綱町から生まれた「りんご」を使ったレザー・ブランド「RERIGO」についてお話ししたいと思います。まだまだ発展途上な分野ではありますが、私たち日本人が大切にしてきた「もったいない精神」を体現した美しい取り組みです。きっと皆様の胸にも響くものがあることでしょう。
1.「RERIGO」って、どんなブランド?
日本のりんご収穫量の1%を担う飯綱町(長野県)から生まれた新しいレザー・ブランドです。株式会社SORENAさんが提供する国産初の植物性レザー製品でもあります。「食べられなくなったりんごを、再び日本の宝として輝かせたい」という想いから、りんごジュースやシードル作りの過程で生じる搾りかすを有効利用した「りんごレザー®」を開発・使用しています。また、このブランドを通して、飯綱町のりんごを知ってもらい、食べてもらいたいという願いも込められています。
※飯綱町がりんごの粉末製造の部分を担当し、提携する共和レザー株式会社が生地を製造、そして、SORENAが商品企画と販売を手がけています。(2022年6月「りんごレザー共同開発契約」締結)
「RERIGO」は、動物にも自然環境にも優しく、そして、地方活性化にも繋がる可能性を秘めています。
2. フードロス課題の現状
WWF(世界自然保護基金)の21年度報告によれば、世界で栽培・生産された食料の約40%(年間25億トン)が廃棄されています。開発途上国では、収穫や貯蔵・保存・加工などの技術的により致し方ないところがあります。しかし、先進国では、食料を簡単に捨てられるほどの余裕があることから加工や小売、外食、家庭の段階でのフードロスが多い傾向にあります。20億人分の食料が廃棄されている一方で、8.3億人の人々が飢餓で苦しんでいるのが、この世界の実情です。
そして、私たちの暮らす日本でも、食べられるのに捨てられるフードロスの量は、年間523万トンにも昇っています。現代の食料供給を輸入に頼ってしているにも関わらず、私たち日本人は、これだけ多くを無駄にしているのです。もったいないですし、捨てるのにもコストが掛かります。フードロスは、私たちが考えている以上に、自然環境にも経済にも大きな負荷になっているのです。
参考:WWF「DRIVEN TO WASTE: GLOBAL FOOD LOSS ON FARMS REPORT SUMMARY」
3. 注目を集めるアップサイクル
究極のエコは、買わないこと、捨てないこと。しかし、生産・消費活動そのものを止めてしまっては、経済的に取り残されてしまう人たちが必ず出てしまいます。そこで大切なのは、まだ使える資源を無駄にしない循環(サイクル)です。最も廃棄量が多い食品製造業では、約8割が再生利用され、そのうちの9割が「飼料・肥料」となっています。この食品廃棄物のリサイクルは、付加価値の低いものに転換する「ダウンサイクル」と呼ばれるものです。一方、もともと捨てられていた廃棄物を再利用して、より付加価値の高い製品につくり変える新しい試みもあります。これが「アップサイクル」です。
4. りんごから生まれたアップサイクル「りんごレザー
現在、アップサイクルの1つとして、植物性のヴィーガンレザーに関心が寄せられています。これは、動物の皮を使用せず、石油系原料の比率も限りなく抑えた合成皮革であり、廃棄しても土に還る生分解性があります。動物愛護や環境保護などのサステナブルの観点から世界的に注目が集まっており、りんごやぶどう、パイナップル、バナナ、お米、竹、きのこ、サボテンなど様々な植物からヴィーガンレザーが作られています。
中でも、りんごを原料とした「りんごレザー®」は、軽量で、水に強く、変色もしにくいという特徴を持っています。従来のレザーのように経年変化を楽しむことはできませんが、水に濡れてしまっても、シミになってしまうこともないため、お手入れも楽です。もちろん、革製品特有の匂いもほとんどありません。
本革は、丁寧に作られたものを、丁寧に使い続けていれば、子どもの世代まで使うことができます。そういう意味では、サステナブルであると言えます。しかし、本革の元になる畜産業の環境負荷は無視できません。畜産動物の飼育には、広大な放牧地や飼料を生産する土地を確保しなければならず、そのために多くの森林が焼き払われています。また、畜産動物の呼気や糞尿処理の過程で発生するメタンガスも、地球温暖化に影響を与えています。
その畜産業を抜きにしても、動物の「皮膚」を「革」に変える過程で、大量の水資源、腐敗防止用の鞣し剤、染料や顔料などが使われます。レザー製品が私たちの手に届くまでに、実に様々な環境負荷が生じているのです。
5. 結び
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
「もったいない」という言葉には、モノが持つ本来の価値を十分に活かせていないことを惜しむ気持ちが込められています。日本は天然資源の少ない国です。現代のような輸入に頼っていなかった江戸時代では、あらゆるモノが貴重な資源として再利用されていました。破損したからといって捨てることなどせず、日用品のほとんどは修理・修繕を繰り返し、長く長く愛用されていました。最後に燃やして残った灰さえも、製紙や染色、肥料、洗剤として使っていましたほどです。そんな時代に育まれてきたもったいない精神は、現在、「MOTTAINAI」という世界共通の言葉となって広がっています。「りんごレザー」と「RERIGO」は、それを体現した1つの形です。モノの形がなくなるまで長く使い続け、モノの形がなくなってもなお新しい価値を見い出し、有効活用する。そういった姿勢が、今の社会を生きる私たちに必要なのだと思います。
自分に優しく、人に優しく。自分貢献から他者貢献、そして、社会貢献へ。それが回りまわって、皆様自身や家族にとって優しい社会になるのだと、私は信じています。