人と社会

子どもを取り巻く不条理をなくす。「なんとかしたい」を大きな力に変える「かものはしプロジェクト」

otobokezizou

家族や友人との会話で、深刻な社会課題が話題になることはなかなかありません。けれど話題に上がらないだけで、世界には、子どもへの虐待や児童買春といった悲しい現実があります。それらは、決して遠い国だけの話ではありません。

暴力や搾取の犠牲になっている子どもたちがいる…なんとかしたい。
でも、問題が大きすぎて、自分に何ができるかわからない…

今回は、そんな一人ひとりの「なんとかしたい」という想いを力に変え、20年以上にもわたって、子どもを取り巻く不条理と向き合ってきた認定NPO法人「かものはしプロジェクト」さんについて、お話ししたいと思います。子どもたちの尊厳と笑顔を守るために、いま何ができるか。この記事が、それを考える小さなきっかけになれば幸いです。

「子どもが売られる問題をなんとかしたい」という想いから、人身売買や児童買春、虐待をなくすために活動している認定NPO法人です。

活動の根底にあるのは、「人の尊厳」。2002年にカンボジアからスタートし、2012年にはインド、2019年には日本、そして2025年にはラオスへ。その時々で向き合うべき社会課題を見つめ直し、活動する場所と支援のカタチを変えているのが特長です。

現在、国内では孤立する妊産婦の居場所づくりや、児童養護施設を出た若者へのアフターケア事業を展開。ラオスでは新たな「子どもを守る仕組みづくり」に挑戦しています。

参考:認定NPO法人かものはしプロジェクト「ホームページ」

おとぼけ地蔵
おとぼけ地蔵

2025年には、社会課題の解決策を生み出し、企業や行政へとつなげる取り組みが評価され、Forbes JAPAN「ソーシャルR&Dを実装するNPO50」に選出されました。

あわせて読んで頂きたい記事
子どもの「自分を守る力」を育む。ふるわれる暴力から心と身体を守る予防教育「CAP(キャップ)」
子どもの「自分を守る力」を育む。ふるわれる暴力から心と身体を守る予防教育「CAP(キャップ)」

2. 子どもを取り巻く不条理

2-1. 児童虐待と、頼れる親のいない若者たち

子どもの尊厳が傷つけられる問題は、この日本にもあります。
こども家庭庁の調査によると、2024年度の児童虐待相談対応件数は22万3,691件 ―依然として高い水準にあります。虐待された子どもたちは、自己肯定感の低下やトラウマ(PTSD)を抱えることが多く、その後の人生に長く大きな影響を及ぼします。

また、虐待などで親と暮らせず、児童養護施設などで育った子どもたちは、高校卒業や進学・就職を機に施設を離れます。

住まいや仕事、お金、人間関係など。社会へ一歩踏み出した後も、誰かに頼りたい場面はたくさんあります。でも、18歳や20歳という若さでのひとり立ちは、経済的な後ろ盾や、困ったときに頼れる大人が少ない若者にとって、決して簡単なことではありません。

参考:こども家庭庁「令和6年度 児童虐待相談対応件数」

2-2. 虐待の裏にある「親の孤立」

虐待した親だけを責めても、この問題の解決にはつながりません。
実は、その背景には「親の孤立」という見えにくい課題が隠れています。

深刻な虐待に至るケースでは、生活困窮やDV、予期せぬ妊娠など、複雑な事情を抱えながら、周囲に相談できる人がいない。困っていても「助けて」と言えない。必要とする支援につながれず、社会から孤立していることがあります。

梅うさぎ
梅うさぎ

孤立から親の尊厳を守ることが、子どもの尊厳を守る第一歩になるんだ。

参考:日本財団ジャーナル「増える児童虐待の背景にある貧困と孤立問題。」

2-3. 搾取される子どもたち

海外では、「子どもが売られる問題」が今もなくなってはいません。
2021年時点で世界の約5,000万人が「現代の奴隷」と呼ばれる状況にあります。そのうち、約2,800万人が強制労働を強いられ、約330万人は子どもです。

近年では、ラオスでの児童買春も問題視されています。
貧困などを背景に、子どもが家族を支える「稼ぎ手」として送り出され、児童買春に巻き込まれることもあります。中には、日本人が加害者として関わっていたケースも報告されています。決して、遠い国だけで起きている問題ではないのです。

参考:国際移住機関IOM「Global Estimates of Modern Slavery(2022)」

参考:認定NPO法人かものはしプロジェクト「ラオスの児童買春問題」

3.「かものはしプロジェクト」の取り組み

かものはしプロジェクトさんは、子どもの人身売買や児童虐待といった不条理をなくすべく、20年以上にわたって活動を続けています。
ひとつの国で、ひとつの支援を続けるのではなく、現地で育った力を信じて、想いのバトンを託していく。現在は、日本とラオスの課題に向き合い、その歩みを進めています。

おとぼけ地蔵
おとぼけ地蔵

約1万7,500人のサポーター会員、寄付者、プロボノ、スタッフ、インターンなどの「なんとかしたいPeople」によって活動が支えられています。

参考:認定NPO法人かものはしプロジェクト「年次報告書(2025-2026)」

参考:STOP!児童買春 #こどもを買わせないプロジェクトinラオス

➀ 日本 ―若者を支える、支える人もひとりにしない

日本での取り組みの1つは、児童養護施設や里親家庭などで育った若者への「アフターケア」です。
施設などを離れた後も、住まいや仕事、人間関係など、さまざまな場面で支えを必要とする若者がいます。そこで重要なのが、若者たちに寄り添う支援団体の存在です。

かものはしプロジェクトさんは、2024年から全国の支援団体をつなぐネットワーク「えんじゅ」の運営を支えています。支援者同士が知識や経験を共有し、研修や調査、政策提言などを通して、それぞれの地域で若者を支え続けられる仕組みづくりに取り組んでいます。

おとぼけ地蔵
おとぼけ地蔵

若者に寄り添う支援者さんを「ひとりにしない」ことが、その先にいる若者をひとりにしないことにもつながっています。

2013年からスタートしたタフティーシュ事業では、「人身売買ビジネスが成り立たない社会」の仕組みを作ることを目指して、現地のNGO団体や弁護士グループと連携し、人身売買の被害にあった女性たちが権利と正義を取り戻すための支援をしています。その取り組みは、刑事司法や福祉制度の強化にまで広がっています。

② 日本 ―妊産婦の「孤立」を防ぐ

日本でのもう1つの取り組みは、孤立しがちな妊産婦さんが安心して過ごし、誰かとの繋がりをつくれる居場所「ふたやすみ」の運営です。

親を孤立させないことが、子どもを守ることにつながる。
だから、困ったときに誰かへ頼ることのできる関係を、できるだけ早い段階からつくっていく。

ソーシャルワーカーや助産師、保育士など、様々な専門性を持ったスタッフさんが中心となり、宿泊場所の提供・相談・訪問などを通して、困りごとを抱える妊産婦さんとその家族に寄り添っています。

おとぼけ地蔵
おとぼけ地蔵

妊産婦さんたちが、支援の網目からこぼれ落ちることがないよう、行政や地域団体との連携を促す活動も行っています。       

2013年からスタートしたタフティーシュ事業では、「人身売買ビジネスが成り立たない社会」の仕組みを作ることを目指して、現地のNGO団体や弁護士グループと連携し、人身売買の被害にあった女性たちが権利と正義を取り戻すための支援をしています。その取り組みは、刑事司法や福祉制度の強化にまで広がっています。

③ ラオス ―こどもを買わせないプロジェクト

カンボジア、インドで積み重ねてきた経験を、次の場所へ。
新たな活動地域となるラオスでは、2025年12月に「#こどもを買わせないプロジェクトinラオス」を開始。2026年から、児童買春を未然に防ぐための挑戦が本格的に始まっています。

子どもを被害から救うことはもちろん。
その前に「子どもが買われない」社会をつくる。

現地での実態調査や関係機関との連携に加え、児童買春に関心を持つ人や、将来的に加害者になり得る人へ情報を届け、子どもを買う行為に踏み出させないための働きかけも進めています。

4. 結び

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

子どもを取り巻く不条理は複雑で、何かひとつ行動したからといって、明日すべてが変わるわけではありません。それでも、「なんとかしたい」。
大切なのは、「自分だけですべてを解決しよう」としないこと。社会を変えるのは、特別な誰かではありません。一人ひとりの小さな想いがつながることで、社会を動かす大きな力になっていきます。かものはしプロジェクトさんの20年以上にもわたる歩みは、そのことを教えてくれているように感じます。

子どもが売られない社会。子どもも大人も、尊厳を持って生きられる未来。そのために、「なんとかしたい」という気持ちが、皆様の心にも小さく芽生えることを願っています。

自分に優しく、人に優しく。
自分貢献から他者貢献、そして、社会貢献へ。
それが回りまわって、皆様自身や家族にとって優しい社会になるのだと、私は信じています。

ABOUT ME
おとぼけ地蔵
おとぼけ地蔵
エンジニア / 副業ブロガー
ご覧くださり、ありがとうございます。 1988年九州生まれのエンジニアです。 現在は大阪在住。半導体業界で働かせて頂いております。バリバリの理系ですが、少しだけ経営学も嗜んでおります。 健康や心の平穏に重きを置いており、身の丈に合った慎ましいミニマル生活を心掛けております。また、和のテイストが大好きです。
記事URLをコピーしました