”生まれてきて良かった”と思える世界へ。医療の届かないところに医療を届ける「ジャパンハート」

世界には、治療すれば助かる命があります。
現代医療は進歩を続け、救われる命は確実に増えています。その一方で、世界には、最低限の医療さえ受けられない人たちもいます。貧しさから治療を諦める人たち、医療にアクセスしにくい僻地や離島に暮らす人たち、難病と闘う子どもたち、災害によって医療体制が崩壊した被災地など。医療が届きにくい場所は、私たちが思っている以上に多く存在しています。
そこで今回は、医療の届かないところに医療を届けるために、20年以上も活動を続けている国際医療NGO「ジャパンハート」さんについて、お話ししたいと思います。生まれてきて良かった ―誰もがそう思える未来のために、ほんの少しだけ、皆様の関心を寄せて頂けたら嬉しいです。

2004年に設立された日本発の国際医療NGOです。
東南アジアを中心に国内外で活動し、医療の届きにくい地域へ必要な医療を提供しています。ミャンマー、カンボジア、ラオスでは、子どもたちの診療・手術を無償で行い、大規模災害が発生した地域には医療チームを迅速に派遣しています。
「心を救う医療」を大切にされており、目の前の患者さんを治療対象としてではなく、一人の人間として尊重する姿勢が特長です。たとえ病気そのものを治せなくても、その人らしく生きるために寄り添い続ける。患者さんの心の健康や人生の質を高める支援も行っています。
ビジョン | すべての人が、生まれてきて良かったと思える世界を実現する。
ミッション | 医療の届かないところに医療を届ける。

NCDs(非感染症疾患)による死亡減少への貢献が評価され、国連の「UNIATF Award 2024」を日本の団体として唯一受賞されています。

2. 医療が届きにくいところ

2-1. 貧しさから医療を受けられない地域
医療費は高額で、貧しい人たちにとっては特に大きな負担です。世界では今も、経済的な理由から必要な治療を諦めてしまう人たちが大勢います。開発途上国の中には、医療インフラが十分に整備されていない地域や、健康・衛生に関する正しい教育が行われていない地域もあり、病気の予防や早期治療を難しくさせています。

出典:国際NGO ジャパンハート「低所得国の小児がん医療の現状」

伝統的な治療法や習慣が優先されて、近代医療が軽視されているケースもあるんだ。
2-2. 医療にアクセスしにくい僻地や離島

先進国・途上国を問わず、医療サービスは人口の多い都市部に集中しています。
対照的に、僻地や離島では医療施設の数が少なく、医療スタッフも慢性的に不足しています。専門的な医療が必要な場合は、数百キロも離れた都市部の病院まで行かなくてはなりません。さらに、悪天候や災害によって交通手段が途絶えてしまうと、医療へのアクセスそのものが失われてしまいます。
このような地域では、治療すれば治るはずの傷病であっても、医療を受ける機会に恵まれずに命を落としてしまうことさえあるのです。
2-3. 病気と闘う子どもたちの心(メンタルケア)

闘病に伴うのは、身体的な苦痛だけではありません。
治療への不安や孤独感、将来への恐れなど、多くの精神的なストレスを伴います。多感な時期にある子どもであれば、その影響はより大きなものになります。もちろん、その家族もまた大きな不安や負担を抱えています。けれど、小児医療に関わる精神科医や心理士は不足しており、適切なメンタルケアを受けられないケースも少なくありません。
2-4. 災害によりインフラが崩壊した被災地

災害は、人命だけでなく、医療体制そのものにも大きな打撃を与えます。
2024年元日に発生した能登半島地震では、直接死だけでなく、避難生活による持病の悪化や精神的ストレスなどによる「災害関連死」が大きな課題となりました。2016年の熊本地震でも、死者数の約8割が、この災害関連死でした。災害の多い日本に住んでいる以上、この問題は決して他人事ではありません。
参照:日本財団ジャーナル「世界の2人に1人が、お医者さんにみてもらえない?」
3.「ジャパンハート」の取り組み
ジャパンハートさんは、2004年の設立以来、「医療の届かないところに医療を届ける」ために、国や地域、人種、政治、宗教、境遇を問わず、活動を続けています。さらには、医療人材の育成、子どもたちへの支援、災害時の緊急救援など。その活動は、単なる治療にとどまりません。

30年前、たった1人の医師が始めた活動は、今では国籍を超えて200名以上のスタッフが集う大きな支援へと成長しました。
参考:国際医療NGOジャパンハート「2024年度 年次報告書」
In ミャンマー
ジャパンハートさんの原点ともいえる場所。
現在のミャンマーは、2021年の軍事クーデター以降、不安定な情勢が続いています。そこに追い打ちをかけるように、2025年3月には大地震が発生しました。特に、もともと専門家の少なかった小児医療は厳しい状況に置かれています。

そのような中でも、ジャパンハートさんの「目の前の患者さんを見捨てない」という姿勢は変わりません。命がけで受診される患者さんたちに、高度で安全な治療を提供し続けています。
また、ワッチェ慈善病院では、現地の医療スタッフのみで治療できるように、日本人医師による技術指導・研修を行っています。現在は、治安が比較的安定しているヤンゴンに新たな医療拠点を整備し、より多くの命を救うための体制づくりを進めています。
In カンボジア
長い内戦の影響が残るカンボジアでは、今も十分な医療を受けられない子どもたちがいます。高額な医療費を払えず、小児がん治療を断念せざるを得ないのが一因です。

ジャパンハートさんのカンボジアでの活動は、2009年の巡回診療から始まりました。
2025年には完全無償病院「アジア小児医療センター」を開院し、小児がんをはじめとする小児疾患に対して、高度な医療を提供しています。
ただ治療するだけでなく、現地病院の運営支援や医療人材の育成など、持続可能な医療体制づくりにも力を入れています。
In ラオス
ラオスでも、医療費の負担や医療体制の不足によって、病院に行きたくても行けない人たちがいます。症状が悪化してから受診したり、治療費を払えず途中で通院を断念するケースも珍しくありません。

そんな中で、ジャパンハートさんは、ラオスの国民病である甲状腺疾患に特化した診療・治療活動を続けています。
2023年にはラオス政府の承認のもと、小児がん治療プロジェクトが正式に始動し、国立子ども病院と連携しながら支援の輪を広げています。
In 日本
ジャパンハートさんの活動は海外だけではありません。
日本国内でも、離島や僻地の地域医療を支えるために医療スタッフを派遣し、慢性的な医療不足の解消に取り組んでいます。また、災害時には専門のメディカルチームを派遣し、被災地での継続的な医療支援を行っています。2024年の能登半島地震でも、発災直後から現地で活動を続けました。

さらに、小児がんと向き合う子どもと家族を支援する「スマイルスマイルプロジェクト」も実施しています。
家族一緒に、旅行や外出を楽しみたい ―そんな願いを叶えるために、ジャパンハートの医療者さんが付き添い、安全面を支えながら、家族の大切な思い出づくりをサポートしています。

病気だけを見るのではなく、患者さんの人生を見る。それが、ジャパンハートさんの医療です。
4. 結び
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
世界には、治療すれば助かる命があります。
その命を救おうと、ジャパンハートさんは、さまざまな壁を越えて、医療を届けています。今日も、目の前の一人と向き合う「心を救う医療」を続けています。
この記事を読んで、皆様の心がほんの少し動いたなら、ご自身に合った方法で応援してみてください。その小さな思いやりが、誰かの「生まれてきて良かった」につながっていくはずです。
自分に優しく、人に優しく。
自分貢献から他者貢献、そして、社会貢献へ。
それが回りまわって、皆様自身や家族にとって優しい社会になるのだと、私は信じています。

