「ただいま」から自立まで。一人の子どもに、どこまでも寄り添う「Learning for All」

「お腹すいたな…」
「お母さんはがんばってる。わがまま言ったらダメ…」
そんな思いで日々を過ごしている子どもたちが、この日本にいることをご存知でしょうか?
子どもの貧困と聞くと、自分とは関係ない、どこか遠い国の出来事のように感じるかもしれません。けれど、日本の子どもの約9人に1人が相対的な貧困状態にあると言われており、それは私たちの日常のすぐそばにある現実なのです。
貧困は、ただお金がないというだけでなく、「学校の勉強についていけない」「安心して過ごせる居場所がない」「頼れる大人がそばにいない」といった多くの困難の引き金にもなります。
そこで今回は、さまざまな困難を抱える子どもたちへ、学習・居場所・食事、そして保護者への寄り添いまで含めた包括的なサポートを届けている認定NPO法人「Learning for All」さんについて、お話ししたいと思います。この記事を通して、現代の子どもたちを取り巻く環境を知り、いまの私たちにできることを考えるきっかけになれば嬉しいです。
1.「Learning for All」って、どんな団体?

「子どもの貧困に、本質的解決を。」をミッションに掲げ、困難な状況にある子どもたちへ包括的な支援を届けている認定NPO法人です。
経済的な困窮だけでなく、虐待や不登校、孤立などの複合的な「生きづらさ」を抱える子どもたちにも寄り添っています。
無償の学習支援から始まった活動は、その後、居場所づくりや食事支援などへ広がり、現在では、地域全体で子どもたちを支える仕組みづくりを推進しています。
さらには、支援モデルの全国展開や政策提言を通して、子どもを取り巻く社会そのものを変える働きかけも行っています。
参考:認定NPO法人 Learning for All「ホームページ」

第三者機関による「グッドギビングマーク認証」の取得や、第5回「エクセレントNPO大賞」受賞など、活動の透明性と社会性が高く評価されています。

2. すぐそばにある「子どもの貧困」
厚生労働省の調査によると、2024年における子どもの相対的貧困率は11.0% —日本は「9人に1人」の子どもが経済的に厳しい状況に置かれています。相対的貧困は、外からは見えにくく、気づかれにくい。でも、確かに存在する社会課題なのです。


貧困は「お金がない」というだけでなく、周りの子たちが当たり前にしていることを、当たり前にできない状態でもあるんだ。
2-1. 教育格差
「貧しくても、頑張れば誰でも同じように学べる」と思われるかもしれません。
けれど貧困は、学力そのものではなく、子どもたちの「学ぶ機会」に大きな影響を与えます。

例えば、塾に通えない、参考書が買えない、家に静かに勉強できる場所がないなど。経済的な理由で、学校外で得られる学びの機会を諦めなくてはならないことがあります。
最初は小さな差でも、積み重なると、やがて学力や進学率に大きな差として現れます。こうした教育格差は、将来の職業選択や収入にまで影響を与える可能性があります。
2-2. 体験格差
子どもの貧困問題で、もう1つ重要視されているのが「体験格差」です。
経済状況や家庭環境によっては、家族旅行やキャンプ、スポーツ、習い事、美術館やコンサートなどの「価値観や感性を育む機会」にも差が生じます。

子ども時代の体験は、自信や挑戦心、コミュニケーション力、将来の夢や進路選択にも影響するとされています。そのため、近年の貧困対策では、学習支援と並び、体験機会を届ける取り組みにも注目が集まっています。
2-3. つながり格差
地域とのつながりが希薄化する中、悩みや困りごとを相談できる大人と出会えず、孤立を深めてしまう子どもたちがいます。特に、経済的な事情から家や学校以外に居場所を持てない子どもたちは、「頼れる大人がいない」「応援してくれる人がいない」という孤立の問題を抱えていることが少なくありません。
さらに近年は、発達特性やヤングケアラー、外国ルーツなど、さまざまな背景が重なり、子どもたちの感じる「生きづらさ」はより複雑になっています。


貧困の本当の怖さは、誰にも助けを求められず、社会とのつながりを失ってしまうことなんだね。
3. 「Learning for All」の取り組み
こうした、子どもたち本人の努力だけでは解決できない問題に対して、Learning for All(LFA)さんは、6歳から18歳までの子どもを切れ目なくサポートする仕組みを構築。多くの企業や自治体、大学生ボランティアたちと連携しながら、子どもの「学び」と「育ち」を支える活動を全国へ広げています。


関東エリアを中心に拠点を広げ、2025年度は延べ20,751人の子どもたちに支援を届けました。
参考:認定NPO法人 Learning for All「年次報告書(2025年度)」
➀「わからない」を言える関係づくり
LFAさんの活動の原点は、2010年から続く「無償の学習支援」です。
自治体や学校と連携し、公民館や学校の一室などに学習拠点を設置。独自の研修を受けた大学生ボランティアさんが、一人ひとりに寄り添いながら、子どもたちの学びをサポートしています。

勉強のつまずきの裏には、家庭の事情や自己肯定感の低さが隠れていることも少なくありません。そのため、LFAさんでは、ただ勉強を教えるだけでなく、「わからない」を安心して言える関係づくりを大切にしています。その安心できる学びの中で、子どもたちは学力向上だけでなく、「わかった」「できた」という確かな成功体験を重ねています。

子どもたちへの支援プログラムを通して、ボランティアさん自身も成長を実感されています。
②「ただいま」と言える場所づくり
LFAさんのもう1つの特長は、放課後から最大21時まで、子どもたちが安心して過ごせる居場所を提供していること。
リビングのようにくつろげる空間で、宿題をしたり、遊んだり、みんなで食卓を囲んだり。家庭以外にも、「ただいま」と言える場所がある。それが、子どもにとっての心の拠りどころになっています。

また、2025年度からは、福祉専門のソーシャルワーカーによる「相談支援」もスタートしました。子どもや保護者さんの思いを尊重しながら、必要に応じて支援制度や関係機関にもつなぎ、自分の足で次の一歩を踏み出せるよう伴走しています。
③「支え合いのインフラ」を広げる
LFAさんの取り組みは、目の前の子どもを支えるだけでは終わりません。
子どもを取り巻く環境が複雑化する中、1つの団体、1つの支援だけでは足りないことがあります。そこで、LFAさんは、現場で培ったノウハウや事例を、ポータルサイト「こども支援ナビ」を通じて全国の支援者へ共有し、それぞれの地域で子どもを支える仕組みづくりを後押ししています。

また、社会の仕組みそのものを変えるために、子どもたちのリアルな声を具体的な政策へつなげる活動にも力を入れています。LFAの代表理事の李炯植さんらは、国の検討委員会や審議会にも参画し、現場で見えてきた課題を政府に「直接」伝えています。

子どもの貧困問題を「今だけ」ではなく「未来まで」解決していく。それもまた、LFAさんの魅力です。
4. 結び
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
子どもの貧困問題は、簡単に解決できるものではありません。けれど、たった1人のボランティアさんとの出会いや、たった1つの安心できる居場所があるだけで、子どもの人生が大きく変わることがあります。
一人の子どもに、どこまでも寄り添う。Learning for Allさんの活動は、すぐに芽が出るものばかりではありません。でも、10年20年先の未来を明るいものへと変える、確かな礎を築いています。子どもたちが安心して「大丈夫」と思える社会は、きっと私たち大人にとっても生きやすい社会です。
この記事を読み終えた後、もしも皆様の心に何か芽生えるものがあったなら、LFAさんのことを、他の誰かにも伝えてみてください。それもまた、未来の子どもの笑顔を支える、小さな、けれど確かな一歩になるはずです。
自分に優しく、人に優しく。
自分貢献から他者貢献、そして、社会貢献へ。
それが回りまわって、皆様自身や家族にとって優しい社会になるのだと、私は信じています。

