これが私の色。社会の景色を変え、誰もが「ありのままで」生きられる環境をつくる「ReBit」

誰にも打ち明けられず、胸の奥にずっとしまい込んでいる秘密はありますか?
多様な価値観を受け入れ、個性を認め合う。今では当たり前に語られる「社会の在り方」ですが、その0理想と現実にはまだまだギャップがあります。
たとえば、LGBTQ+(性的マイノリティ)—レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、クエスチョニングなど、多様な性のあり方を持つ人たちです。
ある全国調査では、LGBTQ+当事者層は9.7%。およそ10人に1人という結果が出ています。皆様の身近な人たちの中にいても、決して不思議ではありません。けれど日本には、自分のセクシャリティについて相談できる場所がまだ少なく、「本当の自分」を隠しながら暮らしている当事者もいます。
そこで今回は、すべての人たちが「ありのままで未来を選べる社会」を目指し、16年以上にわたり活動している認定NPO法人「ReBit」さんについて、お話ししたいと思います。この記事が皆様にとって、LGBTQ+の現状を知り、「自分らしく生きる」ことについて考えるきっかけになれば嬉しいです。
1.「ReBit」って、どんな団体?

2009年の設立から、主にLGBTQの子どもや若者を対象とした教育・キャリア・福祉の分野で活動する認定NPO法人です。
当事者本人だけでなく、その周囲の人たちのアライシップ(Allyship)を育み、マイノリティへの理解者を増やす取り組みが特長です。
また、企業や自治体への研修・伴走支援を通じて、LGBTQだけでなく、障害や生活困窮などの複合的な困難を抱える方へのキャリア支援も行っています。
これまでに学校・企業・自治体などへ2,300回以上の授業・研修を届け、受講者は延べ33万人以上。社会のさまざまな場所でLGBTQやダイバーシティへの理解を広げています。

LGBT教材(アライ先生キット)が2019グッドデザイン賞を受賞。2025年にはForbes JAPAN「いま注目のNPO50」に選ばれるなど。
日本のLGBTQ+支援の最前線に立ち続ける姿が社会的に高く評価されています。

2.「ありのまま」を阻む社会の壁
全国を対象とした調査によると、日本国内のLGBTQ+(性的マイノリティ)の割合は全体の9.7% —左利きの割合と同じくらいであり、決して少ない人数ではありません。けれど、その存在は社会の中で隠されやすく、当事者の多くは深刻な悩みや不安を抱えています。

2-1. 安全でない学校
LGBT理解増進法が成立し、2024年度からは全ての小学校の教科書に「多様な性」が掲載されるなど、社会の在り方は少しずつ前進しています。
けれど、LGBTQ+の子どもや若者にとっての現実はまだまだ厳しいままです。
2025年に行われた大規模調査によると、LGBTQ+の中高生のおよそ9割が、過去1年間に学校で困難やハラスメントを経験しています。その中には、教職員に由来するものもあります。このような環境下で、多感な10代を過ごす当事者たちの多くが、「生きづらさ」を経験しています。


親にも本当の自分をさらけ出せず、他に相談できる人もいない…安心できる場所を見つけられずにいる子たちはけっこう多い。
参考:認定NPO法人ReBit「LGBTQ子ども・若者調査2025」
2-2.「ありのまま」でいられない職場
就職活動は、本来、能力や適性によって公平に評価されるべきものです。
けれど、LGBTQ+当事者の中には、エントリーシートの性別欄や面接時の質問で「自身の性自認や性的指向を開示するかどうか」について、不安や戸惑いを感じる人が少なくありません。
とりわけ、トランスジェンダーの方(心の性と出生時の性別が異なる人)は、性別記載や服装、名前の扱いなど、制度や慣習そのものが壁になることがあります。トランスジェンダーの78%が、就職活動で性的指向・性自認に由来する困難を経験したという調査結果もあります。

また、たとえ就職できたとしても、安心して働けるとは限りません。
LGBTQ+の多くが、入社後3年以内に職場でハラスメントやアウティング(本人の承諾なく暴露されること)を経験しています。こうした無理解や差別が、当事者の心身の不調や離職につながることさえあるのです。

日本の職場は、まだ多くの人にとって「ありのまま」でいられる場所ではないんだ。
参考:厚生労働省「令和6年度 就労する性的マイノリティ調査結果報告書」
2-3. 福祉からもこぼれ落ちる
LGBTQ+当事者の中には、行政・福祉サービスを安全に利用できなかったという声もあります。
「同性のパートナーが家族として扱われない」
「自分の性について説明しても理解されない」
「悪意はないが不適切な質問をされる」
相談窓口でLGBTQ+の理解不足に直面したり、無意識にプライバシーを侵害されたりなど。最後の砦であるセーフティネットでさえも受け入れられず、必要とする支援につながらないケースが少なくありません。こうした社会的な障壁もあり、LGBTQ+当事者は心身の不調や生活困窮に陥りやすい傾向にあります。

参考:認定NPO法人ReBit「LGBTQ医療福祉調査2023」
参考:日本キャリア開発協会「『ありのままで未来を選べる社会』を支えるということ」
3.「ReBit」の取り組み
LGBTQ当事者が直面する困難は、学校から職場、そして福祉の現場まで、社会のあらゆる場所に及んでいます。それでも、社会の景色を少しずつ変えるために、ReBitさんは、教育・キャリア・福祉の3つの側面から、「多様な性」が尊重され、自分らしく生きられる環境づくりを続けています。

参考:認定NPO法人 ReBit「2025年度 団体報告書」
➀ アライ先生(理解者)を増やす
ReBitさんは、LGBTQの子どもたちが最初に直面する「学校での困難」を解決するため、教育現場への取り組みを15年以上続けています。最大の特長は、子どもだけでなく、「先生」にもアプローチしている点です。

全国の学校での出張授業を行うほか、先生が明日からすぐに授業ができる独自教材「Ally Teacher’s Tool Kit」の無償提供や、オンラインLGBTQ情報センター「Ally Teacher’s school」の運営など。教養課程で学ぶ機会が少なかった先生たちが1人で抱え込んでしまうことなく、LGBTQに正しく向き合えるよう強力にバックアップしています。

先生が変われば、学校も変わる。ReBitさんは、小中学校の教科書への「多様な性」の掲載も監修・後押しされています。
②「その人のまま働ける」を支える
ReBitさんは、LGBTQ当事者が社会の中で自分らしく働けるよう、採用後の定着までを見据えたキャリア支援も提供しています。

就活生の個別相談や企業向けの研修・伴走支援のほか、厚生労働省・文部科学省などの後援を受けながら、国内最大級のダイバーシティキャリアフォーラムを10年以上にわたり開催。自分らしく働きたい若者と多様な人材を受け入れたい企業をつなぐ場を生み出し、これまでに延べ26,500人以上のキャリア支援を行っています。
③どこでも安心できるまちづくり
社会の中で自分らしくいられるためには、仕事だけでなく、暮らしを支える福祉も大切です。ReBitさんは、約450の自治体への伴走支援を通じて、地域全体でLGBTQへの理解を広げるまちづくりも推進しています。
そして、ReBitさん自身も日本初となる「ダイバーシティキャリアセンター」を運営しています。精神障害や発達障害、生活困窮などの「複合的な困難」を抱える当事者でも安心して支援につながれるよう、LGBTQフレンドリーかつ専門的な福祉サービスを提供しています。


全国の511の自治体との連携。「自治体LGBTQ/SOGIEできることハンドブック」を通して、他自治体の実践や好例を共有し、施策に活かせるサポートもしています。
4. 結び
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
ヒトは、一人ひとり違うもの。性格も、好きなものも、得意なことも違います。
それなら、それぞれの「性」に違いがあっても、何もおかしくはありません。
LGBTQ+の当事者は、職場の同僚にいるかもしれない。身近な家族や友人の中にいるかもしれない。あるいは、誰かに伝えたい「本当の自分」を心に秘めている皆様自身かもしれません。けれど、その違いを安心して受け入れてもらえる場所が、まだ社会に多いとは言えません。
それでも、何度でも(Re)、少しずつ(Bit)。
理想の社会をすぐに実現するのは難しくても、私たち一人ひとりが「知る」「受け入れる」「伝える」を少しずつ重ねていけば、未来は確実に変わっていきます。ReBitさんが積み重ねてきた16年間の歩みが、それを証明しています。
まずは、LGBTQ+について知ることから始めてみてください。
その「Bit」がきっと、誰もが安心して自分らしくいられる社会へとつながるはずです。
自分に優しく、人に優しく。
自分貢献から他者貢献、そして、社会貢献へ。
それが回りまわって、皆様自身や家族にとって優しい社会になるのだと、私は信じています。



