異彩を、放て。アートの力で、“障害”のイメージを変える「HERALBONY(ヘラルボニー)」

一枚の絵を見て、「きれいだな」「おもしろいな」と感じたことはありませんか?
もしその絵を描いた人に知的障害があると知ったら、私たちは何を感じるでしょうか。作品の見え方が変わる人もいれば、何も変わらない人もいるかもしれません。けれど、“障害”という言葉から無意識に抱いていたイメージは少し変わるはず。
今回は、アートの力で、障害福祉の世界に新しい文化をつくるクリエイティブ・カンパニー「HERALBONY(ヘラルボニー)」さんについて、お話ししたいと思います。異彩を、放て。その言葉に込められた想いに、1人でも多くの共感が集まることを願っています。
1.「ヘラルボニー」って、どんな企業?

「異彩を、放て。」をミッションに、2018年に創業した岩手発のクリエイティブ・スタートアップです。
国内外の主に知的障害のある作家さんとライセンス契約を結び、2,000点以上のアートデータを保有・管理。そのアート作品をさまざまなモノ・コト・バショへ届けながら、“障害”の持つイメージそのものを変えようとしています。起用されたアートの作家さんには、ライセンスフィーが支払われる仕組みも特長です。
始まりは、一本のネクタイ。現在では、さまざまなファッションアイテムや企業とのコラボレーション、ホテルや公共施設などの空間デザインを通して、世界へと活動の幅を広げています。

世界最高峰のクリエイティブの祭典「Cannes Lions International Festival of Creativity 2025」にてGlass: The Lion for Changeゴールド賞を、さらには「The One Show 2026」で最高賞を受賞するなど、確固たる評価を得ています。

2, 残り続ける“障害”のイメージ
日本では、障害のある人もない人も、互いに、その人らしさを認め合いながら生きる「共生社会」の実現を目指し、「障害者差別解消法」が定められています。2024年4月には、その改正版が施行され、行政機関だけでなく、民間事業者にも合理的配慮の提供が義務化されました。
社会の意識も少しずつ変わってきています。内閣府の調査によれば、93.9%の人たちが「障害のある人が身近で普通に生活しているのが当たり前だ」と回答しています。一方で、「障害を理由とする差別や偏見があると思う」という声も88.5%ありました。

制度が変わり、共生の考え方も広がりつつあります。
けれど、私たちの内にある“障害”のイメージまでもがすぐに変わるわけではありません。
3.「HERALBONY」の3つの魅力!
その一人ひとりに目を向ければ、そこにあるのは障害だけではない。
その人にしかない感性や表現があり、そこからしか生まれないアートがある。
HERALBONY(ヘラルボニー)さんは、作家さんを1人のクリエイターとして尊重し、その作品の魅力を最も活かせるようデザインし、社会へと提案しています。
Point1:障害ではなく、「異彩」
障害福祉と聞くと、支援や慈善活動を思い浮かべるかもしれません。けれど、HERALBONYさんが社会に届けているのは、「障害者アート」という枠だけでは語りきれない、一人ひとりの個性「異彩」です。

その人にしか見えない世界がある。
その人にしか描けないアートがある。
知的障害のある方を「できる・できない」で見るのではなく、繊細な線描、大胆な発想、独特の色づかいや構図など、その人だけの感性や表現を、一つの価値として社会へ届けていく。そこにHERALBONYさんの魅力があります。
Point2:支援ではなく、対等なパートナー
HERALBONYさんは、福祉の枠を超えて、知的障害のある作家さんと対等なビジネスパートナーとしてライセンス契約を結んでいます。
著作権を作家さん本人に残したまま、作品のアートデータやライセンスを管理。預かった作品データを商品開発や企業とのコラボレーション、空間デザインなどに活用し、その収益からライセンスフィーを作家さんに還元しています。

障害のある人だから支援するのではなく、作品に魅力があるから、それに見合った対価を払う。
福祉とビジネスを切り離すのではなく、両者を無理なく繋げ、循環する仕組みをつくっています。

作家さんファーストの姿勢が評価され、2025年12月には国際認証「B Corp」を取得しました。
Point3:異彩を、モノ・コト・バショへ
HERALBONYさんは、ファッションアイテムや壁に飾るインテリアだけでなく、異彩アートをさまざまなカタチで社会へ届けています。

例えば、東京・銀座にある「HERALBONY LABORATORY GINZA」では、作家さんの制作風景や作品を通じて、訪れた人たちが「障害に関する価値観が変わる」ような体験を生み出しています。また、2025年9月にはパリコレ(パリ・ファッションウィーク)でコラボレーションルックを発表するなど、国や言葉を越えて、「異彩」を世界へと広げています。
4. 結び
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
私たちは、誰かのことを「たった一つの言葉」で分かったつもりになってしまうことがあります。
でも、その言葉の向こうには、一人ひとり違う個性や感性、そして人生があります。
もしも興味があれば、HERALBONYさんのギャラリーを覗いてみてください。そこには、「障害」という言葉だけでは決して語りきれない、たくさんの「異彩」が広がっています。「障害のある人が描いたから」ではなく、「この作品が好きだから」と心を動かされる。皆様にも、そんな出会いがあることを願っています。
自分に優しく、人に優しく。
自分貢献から他者貢献、そして、社会貢献へ。
それが回りまわって、皆様自身や家族にとって優しい社会になるのだと、私は信じています。



