人と社会

ひとりで頑張るシングルマザーさんに、安心できる住まいと繋がりを届ける「LivEQuality HUB」

otobokezizou

 皆様、こんにちは。

 市役所での申請や企業との契約、銀行口座の開設、子どもの入園・入学続き、荷物の発送や受取りに至るまで、私たちは日常の様々な場面で「住所」を書いています。あまりに多く場面で求められるので、煩わしさを感じる方も多いでしょう。しかし、ある日突然、その住所を失ってしまったら、どうなるでしょうか?

あまり知られていませんが、シングルマザーさんたちは、そんな住まいの問題を抱えています。住まいは生活の基盤です。あらゆる社会システムに紐づいています。裏を返せば、住まいを失った途端、突如として社会から切り離され、安心して暮らしていくことができなくなってしまいます。私たちの周りには、「書ける住所がない」ことで見えない孤立に陥ってしまっているお母さんと子どもたちが大勢いるのです。そこで今回は、愛知県名古屋市を中心に、住まいに困難を抱えるシングルマザーさんを伴走支援している認定NPO法人「LivEQuality HUB(リブクオリティ・ハブ)」さんについてお話ししたいと思います。この記事を読んでくださった皆様が、シングルマザーさんの置かれている厳しい現実を知り、彼女たちの自立支援のために少しでも関心を持って頂けたら嬉しいです。

愛知県名古屋市を拠点に、住まいを失ってしまった女性や、住まい探しに困難を抱えるシングルマザーのご家庭に「快適な住まい」と「安心できる繋がり」を提供している認定NPO法人です。行政、地域団体、医師・弁護士などの専門家、企業や個人と連携しながら、利用者さんたちが自立した生活を送れるように、長い目で寄り添う伴走型支援も行っています。

また、NPOとしては収益性が厳しい「不動産」を扱っているため、2022年1月の設立当初から会計基準に則った徹底した管理体制を整えており、2023年12月には「認定」NPO法人格を取得されています。比較的若い団体ですが、その組織運営の信頼性と透明性は高いと言えます。

参考:認定NPO法人LivEQuality Hub「ホームページ」

おとぼけ地蔵
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 Forbes JAPAN「今注目のNPO 50」にも選出され、その取り組みに多くの期待が寄せられています。

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2. シングルマザーの抱える住まいの問題

2-1. 日本におけるシングルマザーの現状

 日本のひとり親家庭の貧困率は48.3%であり、OECD加盟国の中で最下位とされていますその9割を占める母子世帯(約120万世帯)の就業率は86.3%と比較的高いものの、平均年収は272万円と低く、経済的に困難な状況に直面しています。特に都市部では、家賃価格が高騰しており、収入の50%を越えるケースも少なくありません。コロナ禍から続く物価高も、ギリギリの家計を支えるシングルマザーに追い打ちをかけています。子どもを養いながら安定した暮らしを送るのは容易ではなく、家賃を抑えるために、やむを得ず食費を削ったり、質の低い住環境でがまんしている家庭も多くいらっしゃいます。

参考:厚生労働省「令和3年度 全国ひとり親世帯等調査結果の概要」

2-2.「書ける住所がない」という問題

 シングルマザーさんたちは、厳しい経済状況に加えて、「書ける住所がない」という問題にも直面しています。「住まいの確保」それ自体に大きな困難があるためです。一般的な賃貸契約では保証人を立てる必要がありますが、DVや虐待、失業、外国籍など様々な理由によりシングルマザーとなった方は、その保証人を見つけられないケースが多いのです。家賃保証会社を利用するにしても、審査が厳しく、シングルマザーさんでは利用できないのがほとんどです。また、その保証料や初期費用も決して安くありません。

梅うさぎ
梅うさぎ

「支払いが滞るリスクがある」「子どもが騒ぐと近隣住民とトラブルになる」といった偏見から、シングルマザーさんの入居を断られるケースがよくあるんだ…

公営住宅などの行政支援もありますが、競争率の高さや手続きの煩雑さから十分に行き届いていません。また、公営住宅の多くは老朽化が進んでおり、立地も郊外に偏っています。仕事と子育てを両立しなければならないシングルマザーさんにとっては、決して満足できるものとは言えないのです。特に、外国にルーツを持つシグナルマザーさんは、言葉の壁や文化の違いから、住まいを確保するためのハードルは更に上がります

2-3.「書ける住所がない」ことからはじまる負のスパイラル

 住所は、行政手続きや契約締結など、様々な場面で必要になります。そのため、シングルマザーさんが住まいを失ってしまうと…行政手続きが進まず、必要な福祉サービスを受けることができません。書ける住所がないと、子どもを保育所に預けることもできず、仕事を探す時間も作れません。そもそも、履歴書に住所を書けないために、きちんとした仕事に就くことすらできないのです。そして、仕事がなければ、当然、安定した収入を得ることも、自立のための資金を貯めることもできません。このようにして、「書ける住所がない」ことが原因となり、生活のあらゆる基盤が崩れ、負のスパイラルに陥ってしまうのです

3.「LivEQuality HUB」の取り組み

 シングルマザーさんの抱える住まいの問題を解決するためには、困っている家庭に相談先の情報が届くこと、安心できる住まいが見つかること、行政のセーフティネットにアクセスできること、自立のための継続支援と見守りが必要です。NPO法人LivEQuality HUBさんの取り組みは、これらの点に重きが置かれています。

おとぼけ地蔵
おとぼけ地蔵

伴走支援している母子家庭27世帯の約90%が、半年以内に保育園と就業先を見つけて働き始めることができました。(2025年3月時点)

参考:認定NPO法人LivEQuality HUB「アニュアルレポート2023」/「定期活動報告」

➀ 安心して暮らせる「住まい」を届ける

 住まいを失ってしまった女性や、収入や保証人などの様々な理由により賃貸契約が難しいシングルマザーさんの相談を受け、ご家庭の事情に応じた適切な物件を紹介しています。LivEQuality HUBさんが紹介する物件は、いずれも、女性たちが前向きな気持ちで新しい生活を始められる「安価で、安心して暮らせる住まい」です。

家賃などの費用面については、母子家庭限定の家賃割引「シングルマザー応援価格」を設けており、立地についても最寄り駅から徒歩圏内にあり、名古屋の中心地へもアクセスもよく、就業機会に繋がりやすい場所にあります。もちろん、病院や保育園、スーパーなども近く、便利で子育てしやすい環境です。また、DV被害から避難してきたシングルマザーさんもいらっしゃるため、プライベートの確保にも重きが置かれています。全部屋、浴室・トイレ・キッチンつきの賃貸住宅で、中には、オートロック完備の物件やモニター付きインターフォンのある物件もあります。

梅うさぎ
梅うさぎ

家賃が完全無料ではなく、少なからずシングルマザーさんが負担する点が味噌支えられながらも、自分の足で立っている」という実感が、新しい一歩を踏み出すための活力になっているんだ。

② 伴走型支援で、地域の「繋がり」を届ける

 LivEQuality HUBさんの取り組みは、住まいの紹介だけに留まりません。シングルマザーさんは「子どものために、自分がしっかりしなければ!」と、全てをひとりで抱え込んでしまう傾向にあります。そのため、入居者さんたちが孤立しないように定期的な見守りや面談を続け、自立できるようになるまで伴走しながら支援していますその中で、彼女たちの課題やニーズを見つけ、教育や就労支援、医療などの必要な支援サービスを紹介しています。

また、給付金申請や保育園入園などの行政手続きもサポートし、安定した生活を整えられるようお手伝いしています。加えて、お子さんたちにも、バディプログラムを通じて、地域の大人たちとの「ナナメの繋がり」を届けています

おとぼけ地蔵
おとぼけ地蔵

入居者の中には外国籍を持つ方も多いため、この伴走型支援は、地域とつながる上でとても大きな助けになっています。

梅うさぎ
梅うさぎ

専門知識を持つ支援団体さんや弁護士さんたちとも提携しているから、離婚や引っ越しのための手続きについてもお手伝いしているよ。

4. 結び

 ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

 子ども1人を育てるには1つの村がいる、アフリカにはそんなことわざがあります。それだけ、子育ては大変だということです。にも関わらず、シングルマザーさんの多くは、頼れる繋がりも、お金も、心の余裕もない中、たった1人で頑張っています。彼女たちが抱えている困難は、繋がりの薄れた現代社会の象徴とも言えます。だからこそ、認定NPO法人「LivEQuality HUB」さんは、孤軍奮闘しているシングルマザーさんたちに、ホッと一息をついてまた頑張ろうと思える居場所と機会を提供しています。人は安心できる住まいがあってはじめて、暮らしに豊かさを見い出すことができます。家族と一緒に温かいごはんを食べたり、落ち着いて会話したり、明るく「いってきます」と「ただいま」が言える、そんな住まいを、1組でも多くの家庭に届けるために、より公平な社会のために、どうか皆様もお力添えください。

自分に優しく、人に優しく。自分貢献から他者貢献、そして、社会貢献へ。それが回りまわって、皆様自身や家族にとって優しい社会になるのだと、私は信じています。

ABOUT ME
おとぼけ地蔵
おとぼけ地蔵
エンジニア / 副業ブロガー
ご覧くださり、ありがとうございます。 1988年九州生まれのエンジニアです。 現在は大阪在住。半導体業界で働かせて頂いております。バリバリの理系ではありますが、少しだけ経営学も嗜んでおります。 健康や心の平穏に重きを置いており、身の丈に合った慎ましい生活を心掛けております。また、和のテイストが大好きです。
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