心も家族の負担も軽くなる。自然に還る、新しい供養の形「樹木葬」

人生100年時代を迎える一方、高齢化が進む日本では、人生の最期に向けて生前から準備を進める「終活」に取り組む人が増えています。
エンディングノートや遺言書の作成、財産整理や相続、遺影の撮影、そして、葬儀・供養・埋葬の手配など。やるべきことは決して少なくありません。それでも、いずれ訪れる死から目を逸らさず、ポジティブに向き合うことは、残された時間を精一杯に生きるための大切な糧になります。
近年は、親の終活に寄り添う若い世代も増えており、家族みんなで「これからの人生と心の整理をする活動」という側面が生まれてきています。
今回は、そんな終活にまつわるテーマとして、日本の「お墓事情」に触れながら、新しい供養の形として注目されている「樹木葬」について、お話ししたいと思います。自然の中で眠りたい、お墓の承継で家族に負担をかけたくない、新しい墓所が見つからない 。そう感じている方にとって、樹木葬は選択肢の1つになるかもしれません。この記事が、皆様にとって、自分らしい最期や供養の在り方について、前向きに考えるキッカケになってくれたら嬉しいです

樹木葬とは、埋葬された遺骨のそばに樹木や草花を植え、自然と調和した形で供養する方法です。「故人が自然に還る」「自然の一部として永遠に生き続ける」という心理的な安らぎが感じられるとして、近年ますます人気が高まっています。
墓石を用いた従来の形式と比べて、お墓や墓所の購入、維持管理に掛かる費用を抑えられるのも魅力の1つです。家族への負担を減らしたい、という理由で選ぶ方も多くいらっしゃいます。
=樹木葬の種類=
➀ 里山型
許可された山林など広い場所を墓地として埋葬される樹木葬。自然の山に埋葬するため、自然の緑や鳥のさえずりに囲まれながら、より自然に近い環境で眠ることができるのが特徴です。
② 公園型(都市型)
公園のように整備された墓地に埋葬する樹木葬。草花や樹木が美しく管理されており、明るく開放的な雰囲気の中でお参りできます。都市部に多く見られ、アクセスしやすい場所が多いのも特徴です。

いずれの場合でも、お墓の継承を前提としない「永代供養」の形が取られています。

2. 日本のお墓事情

2-1. お墓の承継者不足、墓地不足
日本では長らく、伝統的な「家墓」を中心とした供養が続いてきました。しかし近年は、少子高齢化や地方の過疎化進む中、家族でお墓を承継したり、維持管理し続けることが難しくなるケースが増えています。
総務省の調査によれば、全国の公営墓地・納骨堂で「無縁墓」が発生している市町村は全体の58.2%にのぼっており、特に地方ではその傾向が顕著です。一方で、人口の多い都市部では「墓地不足」が深刻化しており、霊園の申し込みから利用開始まで数年待ちになるケースも珍しくありません。
2-2. お墓の維持管理コスト
お墓の承継者にとって地味に悩ましいのが、その維持管理です。一般的な墓地でも、年間1~2万円の維持コストが掛かります。新たに墓石を建てるのなら、数十万~数百万円に及ぶこともあります。もちろん、それなりの土地も必要となり、都市部で地価が上昇すれば、それ以上のコストが掛かることさえあります。


墓石や墓地を引き払う「墓じまい」に掛かるコストも無視できないね。
参考:いいお墓「改葬・墓じまいに関する実態調査(2025年)」
2-3. 高まる樹木葬のニーズ

近年では、従来の形式にとらわれない新しい供養の形が増えており、その1つが「樹木葬」です。SDGsや環境保護が叫ばれる現代において、自然に還る樹木葬は「時代にあったエコな供養」として、多くの人に受け入れられています。
最新の調査によると、樹木葬を選ぶ割合は48.5%と、全体の約半数を占めています。特に、地価が高く墓地の確保さえ難しい都市部では、環境にも家計にも優しい選択肢として人気を集めています。最近では、ペットと一緒に埋葬できる樹木葬や、地域ごとの特産樹を用いたプランなども登場しており、多様なニーズに応えています。

「子どもや承継者に負担を掛けたくない」というのも、樹木葬が選ばれる大きな理由だね。
3. 樹木葬できる霊園
日本全国に広がる樹木葬 ―その中から、3つの霊園を紹介させて頂きます。

➀ 藤野聖山園 ガーデニング樹木葬「花樂苑」
北海道札幌市の中心部から車で約30分でアクセスできる公園型の霊園です。個人や家族のニーズに合わせて、1~10体の納骨が可能なコンパクトな永代使用墓「憩」「恵」「想」をはじめ、納骨数無制限の「彩」「温」「奏」など、多彩な区画を用意されています。
また、近年のお墓ニーズに応え、樹木葬の区画を更に拡大する方針も打ち出しています。「ガーデニング樹木葬」というスタイルも、この霊園ならではの魅力です。

② アンカレッジの樹木葬
アンカレッジさんは、東京の「三田花苑」や京都の「上京庭苑 みのり」など全国23か所で、人々の心の拠り所となる「お寺づくり」をお手伝いされています。その1つである樹木葬は、園内の美しい環境で、季節の花と緑で彩られた明るい雰囲気が特徴です。また、どの寺院も駅からのアクセスが良好なため、何度でも気軽にお参りに訪れることができます。

③ 公益財団法人 大宰府メモリアルパーク
福岡太宰府市にて「歴史と自然の公園墓地」を手掛ける公益財団が提供する樹木葬は、四季折々の花と緑に囲まれた公園型の墓所です。ソメイヨシノが咲き誇る562区の「桜樹木葬」やバラに囲まれた58区の「エンゼルガーデン」、夫婦でちょうどいい2人用樹木葬など、多彩な区画が揃っています。
また、園内には段差がなく、車で墓前まで行けるバリアフリー設計となっており、足腰に不安がある方でも訪れることができる快適な環境です。

4. 結び
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
自然と調和しながら、自然の一部として永遠に眠る —樹木葬は、新しい時代の供養の形です。四季折々の花や木に囲まれた「明るく、寂しくないお墓」は、これまでの暗くて陰湿なイメージを払拭してくれることでしょう。そこは、お墓で眠る本人だけでなく、訪れる家族にとっても、心安らげる場所になるはずです。
10年後、20年後には、こうした供養の形が当たり前になっているかもしれません。この機会に皆様も、ご自身の望む自分らしい最期や家族との向き合い方について、一度ゆっくりと話し合ってみてはいかがでしょうか。
自分に優しく、人に優しく。
自分貢献から他者貢献、そして、社会貢献へ。
それが回りまわって、皆様自身や家族にとって優しい社会になるのだと、私は信じています。



